2008-01-01から1年間の記事一覧

白洲正子と鼓の二打ち

先日、ある機会があり、20人くらいの外国人を相手に能狂言の解説をした。1時間の予定だったのだが、ビデオやDVDを見せているうちに興がのってしまい、結局20分ほどオーバーしてしまった。全くの偶然だが、使った狂言のDVDに収録されていた演目(「附…

忠臣蔵と千両役者

浅草で平成中村座の「仮名手本忠臣蔵」を全部観る。今回は、中村屋(中村勘三郎、勘太郎、七之助)一門に橋之助、弥十郎、亀蔵といったレギュラーメンバーに加え、松嶋屋親子(片岡仁左衛門、孝太郎)がゲスト出演したのが大きな話題で、連日大入り満員だっ…

三国志と吉田秀和

ブログを再開してすぐ長い眠りに入ってしまったわけですが、何もしていなかったわけではなく、インドネシアに出張に行って腹を壊したり、浅草で歌舞伎を見まくったり、三国志を読んだりしていました。さて、ちくま文庫の井波律子訳の三国志を読み終えたので…

野田歌舞伎「愛陀姫」と腹芸

歌舞伎座で野田歌舞伎第三弾「愛陀姫」を観る。満員御礼。おめでとうございます。歌舞伎座では、いつも1階(もしくは3階)で観ているので、2階後方で見たのは初めてであった。野田歌舞伎の第一弾「研辰の討たれ」も第二弾「鼠小僧」も、初演時に歌舞伎座…

北京五輪と中国五大小説

随分と間が空いてしまいましたが、またぼつぼつ書こうかと思います。さて、連日普通の新聞がスポーツ新聞になってしまったかのような状態になっていた北京オリンピックですが、そろそろ大会も終わりが近づいてきました。ウサイン・ボルトの100M走がこの大会…

間とヴォイス

国立文楽劇場に文楽を見に行く。余り体調がすぐれず、お恥ずかしい話ではあるが、何度か意識を失う。個人的には、舞台やコンサートを見ながら寝てしまうことについて、それほど違和感を持ってはいない。というのは、過去の経験から言って、一番典型的な爆睡…

洛中の花盛り―能・熊野の後で夜桜を見る

花見の季節である。能楽師の味方玄(みかた しずか)氏が主催するテアトル・ノウ公演『洛中洛外の花ざかり』を京都観世会館に見に行く。味方氏がシテで演じる演目は「熊野」で、桜の季節にはぴったりの演目である。主人公である熊野(ゆや)は、故郷(遠江の…

サイモン・マクバーニーで谷崎を観る(ヨシ笈田付き)

友達のAくんに面白いからと薦められたサイモン・マクバーニー演出の「春琴」を、世田谷パブリックシアターに急いで観に行く。当然、立ち見席しか残っておらず。立って観る。40歳超えての立ち見はできればやめたいのだが、そういえば、この間観た野田秀樹演…

京都でお寺(と神社と映画館)をめぐる話

先に言っておきますが、今回は長いです。 大阪に来てから京都や奈良のお寺や神社を暇があればめぐるようにしている。東京からだとなかなか来られないし、関西にいる間になるべく多く見ておこうという腹積もりである。 京都の文化財特別公開といえば、財団法…

紀伊國屋書店で本を買う話

新宿で少し時間ができたので、久しぶりに紀伊國屋書店を覗いてみる。紀伊國屋書店は、私が今まで最もたくさんの本を買った本屋である(Amazonは除いてだが)。売り場をうろついているうちに、無性に本が買いたくなったのだが、その日のうちに飛行機で関西に…

蝶々夫人と着物の話

年末年始と常夏のフロリダで休みを満喫するはずだったにもかかわらず、アラスカ発の大寒波の襲来によりキーウェストでぶるぶる震えていたためにすっかりご無沙汰してしまいました。今回は、オペラの話です。私がこれまでに一番たくさん見たオペラの演目は、…